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音楽レッスン帳

クラシックピアノ・ジャズピアノ・エレキギター・作曲・DTM・オーケストラ・パーカッションのレッスン日記 ♪ 姉妹サイト「ニョキリサ」もよろしくお願いします(๑˃̵ᴗ˂̵)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第13番 作品27―1

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 作品27―1
≪幻想風ソナタ Sonata quasi una fantasia≫




【概 要】
 ≪幻想風ソナタ(Sonata quasi una fantasia)≫という副題を持つ作品27のソナタは、第13番と第14番であるが、後者は『月光』という名で広く親しまれているため、『幻想風ソナタ』というと第13番のことを示すことが多い。

 大きな特徴は、全楽章が attaca で結ばれ、切れ目なく演奏されるようになっている。これまでのソナタの作られ方としては、第一楽章と終楽章(両端楽章)が二本の大きな柱となり、とりわけ第一楽章(ソナタ形式)に重点がおかれていた。
 しかし、この作品27-1 は大きく異なり、重点を終楽章にシフトさせ、第一楽章から徐々に発展と高潮を増せ終楽章でクライマックスを遂げる。これは、次の作品27-2 にも通じている。
 また、作品26 と同様にどの楽章においてもソナタ形式をもちいておらず、力性においても形式においても新しい構成方法をとっている。
 尚、終楽章の序奏を第三楽章、主部を第四楽章ととらえることもできる。


【構 成】
 第一楽章: 複合三部形式
 第二楽章: 複合三部形式
 第三楽章: 序奏付きロンド形式 


【楽曲分析】



※ 以下、[]内は小節数、()内は小節数量、〔〕内はトラック時間を示す。


第一楽章
Andante - Allegro - Tempo I - attacca 変ホ長調

複合三部形式 [1~86](86)〔00:13~06:08〕
 第1部(三部形式) [1~36](36)〔00:13~03:37〕
  第1部分 [1~8](8)〔00:13~01:17〕
  第2部分 [9~20](12)〔01:18~02:27〕
  第3部分 [21~36](16)〔02:28~03:37〕

 第2部(二部形式) [37~62](26)〔03:38~04:25〕
  第1部分 ハ長調 [37~44](8)〔03:38~03:57〕
  第2部分 [45~52](8)〔03:58~04:07〕
  第3部分(第2部分の装飾的反復) [53~62](10)〔04:08~04:25〕

 第3部 [63~86](24)〔04:26~06:08〕
  第1部の省略形再現 変ホ長調
 







   
第二楽章
Allegro molto e vivace - attacca ハ短調

複合三部形式 [1~140](140)〔06:09~08:19〕
 第1部 ハ短調 [1~41](41)〔06:09~06:54〕
  第1部分 [1~16](16)〔06:09~06:26〕
  第2部分 [17~24](6)〔06:27~06:31〕
  第3部分 [25~41](17)〔06:31~06:54〕

 第2部 変イ長調 [42~72](31)〔06:54~07:31〕
  第1部分 [42~55](14)〔06:54~07:10〕
  第2部分 [56~73](18)〔07:10~07:31〕
  
 第3部 ハ短調 [73~140](68)〔07:31~08:19〕
  第1部分 [73~104](32)〔07:31~07:49〕
  第2部分 [105~112](8)〔07:49~07:53〕
  第3部分 [113~140](28)〔07:53~08:19〕

   







第三楽章
Adagio con espressione - attacca - Allegro vivace 序奏部:変イ長調 - 主部:変ホ長調

序奏付きロンド形式 [1~311](311)〔08:20~17:22〕
 序奏部(三部形式) 変イ長調 [1~26](26)〔08:20~11:46〕
  第1部 [1~8](8)〔08:20~09:18〕
  第2部 [9~16](8)〔09:18~10:15〕
  第3部 [17~26](10)〔10:16~11:46〕

 第1部 [27~131](105)〔11:47~13:18〕
  第一主題 変ホ長調 [27~50](24)〔11:47~12:08〕
  推移 [51~61](11)〔12:08~12:17〕
  第二主題 変ロ長調 [62~82](21)〔12:17~12:34〕
  推移 [83~107](25)〔12:34~12:57〕
  第一主題 [108~131](24)〔12:57~13:18〕
  
 第2部 [132~192](61)〔13:18~14:09〕
  第1群 変ト長調 [132~165](34)〔13:18~13:47〕
  第2群 [166~192](27)〔13:47~14:09〕
  
 第3部 [193~311](119)〔14:10~17:22〕
  第一主題 変ホ長調 [193~216](24)〔14:10~14:30〕
  推移 [217~229](13)〔14:30~14:41〕
  第二主題 変ホ長調 [230~250](21)〔14:42~14:58〕
  推移 [251~281](31)〔14:58~15:35〕
  楽章終止 [282~311](30)〔15:36~17:22〕
   第一群 序奏部の回想 [282~291](10)〔15:36~17:06〕
   第二群 プレスト [292~311](20)〔17:07~17:22〕






【参考文献】




【私の愛聴盤】





[タグ未指定]
[ 2012/10/15 12:55 ] 楽曲分析 | TB(0) | CM(0)

『イタリア』 交響曲

メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品 90 『イタリア』
SYMPHONIE 4 A dur op.90




【概 要】
 メンデルスゾーンが38年の生涯のなかで作曲した交響曲は17曲。
 交響曲第4番(通称『イタリア』)は15曲目に手がけ、1831年から1833年にかけて作曲した。
 このうち一年あまりは作曲を中断し、再度の着手はローマからベルリンに拠点を移し、1833年3月13日に一応の完成をみた。
 初演は、同年5月13日、ロンドンにてメンデルスゾーン自身の指揮によって行われ、その後再三にわたる改作を重ねた。 
 尚、最終楽章サルタレッロ(イタリア民族舞踏)にタランテラのリズムが一貫して取り入れられている他には、標題音楽的要素は認められない。

【構 成】

第1楽章
 Allegro vivace イ長調 6/8拍子 ソナタ形式

第2楽章
 Andante con moto ニ短調 4/4拍子 自由な三部形式

第3楽章
 Con moto moderato イ長調 3/4拍子 三部形式

第4楽章
 Saltarello Presto イ短調 4/4拍子 自由なロンド形式



【楽器編成】
 フルート 2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2、トランペット 2、ティンパニ、弦五部


【楽曲分析】


※ 以下、[]内は小節数、()内は小節数量、〔〕内はトラック時間を示す。

第1楽章:Allegro vivace イ長調 6/8拍子

ソナタ形式 [1~563](563)〔00:35~10:52〕
 提示部 [1~185](185)〔00:35~05:55〕
  第一主題の提示 イ長調 ヴァイオリン [3~23](21)〔00:35~00:53〕
  第二主題の提示 ホ長調-嬰ハ短調 クラリネット&ファゴット [110~123](14)〔02:02~02:13〕
  終結部 ホ長調 [167~185](19)〔02:51~03:07〕 

  リピート
  第一主題の提示 イ長調 ヴァイオリン [3~23](21)〔03:25~03:41〕
  第二主題の提示 ホ長調-嬰ハ短調 クラリネット&ファゴット [110~123](14)〔04:50~05:01〕
  終結部 ホ長調 [167~185](19)〔05:39~05:55〕

 展開部 [186~345](160)〔05:55~08:00〕
  第三主題の提示 第二ヴァイオリン ニ短調 [202~206](5)〔06:07~06:09〕

 再現部 [346~474](129)〔08:01~09:44〕
  第一主題の再現 イ長調 ヴァイオリン [346~364](19)〔08:01~08:15〕
  第二主題の再現 ニ長調 ヴィオラ&チェロ[382~395](14)〔08:29~08:40〕
    
 コーダ [475~563](89)〔09:44~10:52〕
 
 








第2楽章:Andante con moto ニ短調 4/4拍子

自由な三部形式 [1~103](103)〔11:10~16:53〕
 序奏 [1~2](2)〔11:10~11:21〕
  ニ短調 フルート、オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン&ヴィオラのユニゾン

 A [3~35](33)〔11:21~13:41〕
  主旋律 ニ短調 オーボエ&ファゴット[3~11](9)〔11:21~11:48〕 
  対位旋律 ニ短調 フルート[11~19](9)〔11:21~12:15〕
  主旋律 ニ短調 オーボエ&ファゴット[19~27](9)〔12:15~12:41〕 
  対位旋律 ニ短調 フルート[27~35](9)〔12:41~13:09〕

 B [45~56](12)〔13:41~14:19〕
  副旋律 ニ長調 クラリネット [45~49](5)〔13:41~13:52〕

 序奏の再現 [57~58](2)〔14:19~14:25〕
  イ短調 フルート、オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン&ヴィオラのユニゾン
    
 A' [58~71](14)〔14:25~15:16〕
  主旋律 イ短調 オーボエ、ファゴット&ヴィオラ [58~63](6)〔14:25~14:38〕

 B' [74~86](13)〔15:17~15:56〕
  副旋律 ニ長調 フルート 

 コーダ [86~103](18)〔15:56~16:53〕
  ニ短調 序奏の動機と主旋律の断片の掛け合い


引用(「メンデルスゾーン 交響曲第四番 イ長調 作品90」 解説者:星野 弘 全音楽譜出版社 より14ページ)


 M.カルナーの評によると、この楽章のもつムードはベートーヴェンの「第7交響曲」のアレグレット楽章と関連があり、その意味で、シューベルトの「第7交響曲」のアンダンテ楽章ともあい通ずるともみられる。


















第3楽章:Con moto moderato イ長調 3/4拍子

三部形式 [1~223](223)〔16:56~23:03〕
 第一部 [1~20](20)〔16:56~17:50〕
  スケルツォ風旋律(ヴァイオリン)と下降音型旋律(木管)
  この第一ヴァイオリンの動機は、第一楽章展開部の最初に現れる動機〔05:55~〕と関連性あり

 第二部 [20~76](57)〔17:51~19:06〕
  スケルツォ風旋律と下降音型旋律の素材で展開

 Trio [76~92](17)〔19:07~19:53〕
  ホ長調  

 Trio のパラフレーズ [92~124](33)〔19:54~20:40〕
  
    
 第一部の再現 [124~202](79)〔20:41~22:29〕
    

 コーダ [202~223](22)〔22:30~23:03〕
 
 








第4楽章:Saltarello Presto イ短調 4/4拍子

自由なロンド形式 [1~264](264)〔23:04~28:25〕
 序奏 [1~6](6)〔23:04~23:10〕


 A [6~34](29)〔23:11~23:44〕
  主要主題 フルート [6~10](5)〔23:11~23:20〕

 B [34~52](19)〔23:44~24:07〕
  

 C [53~76](24)〔24:08~24:36〕
  
    
 A [76~84](9)〔24:36~24:46〕
  

 C [85~104](22)〔24:46~25:12〕


 A [105~122](16)〔25:12~25:33〕
  
    
 D [122~178](57)〔25:33~26:43〕
  タランテラ破調 [122~179](58)〔25:33~26:43〕

 A [179~196](18)〔26:43~27:02〕


 コーダ [196~264](69)〔27:02~28:25〕
  タランテラ破調 [196~210](15)〔27:02~27:20〕


引用(「メンデルスゾーン 交響曲第四番 イ長調 作品90」 解説者:星野 弘 全音楽譜出版社 より16ページ)



 タランテラのリズムの強烈さが支配的であることを理由に、この楽章を南欧イタリアの煽情的で歓楽的な雰囲気と関連づける評価もあるが、他方では、ウェーバーのホ短調の「ピアノ・ソナタ」中にあるタランテラとの関係に留意する評価もおこなわれている。



 





【参考文献】





【私の愛聴盤】



 クレンペラー盤は、トスカニーニと比べるとテンポが遅めで重厚な響きです。
 一方トスカニーニ盤は、爽快なテンポ、終楽章サルタレッロのコーダではティンパニをトレモロからタランテラのリズムに変更し、他の低音楽器(チェロとコントラバス)と同じリズムを打っています。
 どちらかというと、トスカニーニの演奏の方が好きです。
 特に終楽章が物凄くて、ティンパニが最高です。









[タグ未指定]
[ 2012/10/02 04:37 ] 楽曲分析 | TB(1) | CM(0)

序曲 『フィンガルの洞窟』

メンデルスゾーン:『フィンガルの洞窟』 作品26
Die Hebriden




【概 要】
 メンデルスゾーンはこの序曲に3年を費やし、異なる二つの版を作曲した。
 最初の版は、1830年12月16日ローマで、改訂版は、1832年6月20日ロンドンで完成した。
 初演は1832年5月14日にロンドンで、演奏会用序曲『真夏の夜の夢』作品21(Ein Sommernachtstraum)とともに行われた。

【構 成】
 ソナタ形式

【楽器編成】
 フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部


【楽曲分析】


※ 以下、[]内は小節数、()内は小節数量、〔〕内はトラック時間を示す。





Allegro Moderato h-moll 4/4拍子

ソナタ形式 [1~268](268)〔0:07~11:36〕
 提示部 [1~92](92)〔0:07~4:11〕
  第一主題の提示 ロ短調 [1~46](46)〔0:07~2:13〕
  第二主題の提示 ニ長調 [47~76](30)〔2:13~3:30〕
  終結部 [77~92](16)〔3:30~4:11〕

 展開部 [93~179](87)〔4:11~7:49〕
  小さなパドル汽船のシュッポシュッポ(Eulrnburg/Zen-On、『MENDELSSOHN:Die Hebriden Overture for Orchestra Op.26』、ロジャー・フィスケ〈1974年〉解説Ⅴページ) [149~164](16)〔6:37~7:13〕

 再現部 [180~225](46)〔7:49~9:55〕
  第一主題の再現 ロ短調 [180~201](22)〔7:49~8:50〕
  第二主題の再現 ニ長調 [202~225](24)〔8:50~9:55〕
    
 コーダ [226~268](43)〔9:55~11:36〕
  第一主題の再現 ロ短調

 

【参考文献】





【私の愛聴盤】






[タグ未指定]
[ 2012/09/24 15:58 ] 楽曲分析 | TB(0) | CM(0)

歌劇 『フィガロの結婚』 序曲

モーツァルト:歌劇 『フィガロの結婚』 序曲
Le nozze di Figaro (K.492)




【概 要】
 歌劇『フィガロの結婚』は、フランスの劇作家 カロン・ド・ボーマルシェ(1732-1799)の戯曲(1781年作)に基づき、イタリアの詩人 ロレンツォ・ダ・ポンテ(1749-1838)が脚色し、モーツァルトがウィーンの帝室劇場のために1785年の7月から11月にかけて作曲したが、序曲は翌1786年4月29日に完成した。
 原作は喜劇『セビリアの理髪師』(第1部 1775年)、正劇『罪ある母』(第3部 1792年)とともにフィガロ三部作と呼ばれ、『フィガロの結婚』 は『セビリアの理髪師』の好評を受けての続編である。
 初演は、1786年5月1日にウィーンにて行われた。

【構 成】
 展開部の代わりに短い経過部のあるソナタ形式。

【楽器編成】
 フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部


【楽曲分析】


※ 以下、[]内は小節数、()内は小節数量、〔〕内はトラック時間を示す。





プレスト ニ長調 2/2拍子

ソナタ形式 [1~294](294)〔0:08~4:12〕
 提示部 [1~123](123)〔0:08~1:48〕
  第一主題の提示 ニ長調 [1~58](58)〔0:08~0:55〕
  第二主題の提示 イ長調 [59~107](49)〔0:55~1:36〕
  終結部 イ長調 [108~123](16)〔1:36~1:48〕

 経過部 [123~138](16)〔1:48~2:01〕
  
 再現部 [139~236](98)〔2:01~3:22〕
  第一主題の再現 ニ長調 [139~171](31)〔2:01~2:28〕
  第二主題の再現 ニ長調 [172~220](49)〔2:28~3:09〕
  終結部 ニ長調[221~236](16)〔3:09~3:22〕
  
 コーダ [236~294](59)〔3:22~4:12〕




【参考文献】
 



【私の愛聴盤】







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[ 2012/09/22 16:07 ] 楽曲分析 | TB(0) | CM(0)

モーツァルト:交響曲第38番 『プラハ』

モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調 K.504 『プラハ』




モーツァルト像:バルバラ・クラフト作(1819年)






【概 要】
 歌劇 『フィガロの結婚』 の初演の前夜、1787年1月19日にプラハにて、モーツァルト自身の指揮により初演された。現在 『プラハ』 と呼ばれるこの交響曲は、前年の12月6日にウィーンで完成されたものである。 『フィガロ』 と同時期に作曲され、特に旋律において深い関連性が認められる。第一楽章第一主題の対旋律は、 『フィガロ』 のアリア 「もう飛ぶまいぞこの蝶々」 から、第二主題は、スザンナのアリア 「さあさあ、おひざをついて」 における木管の伴奏部からとられている。また、第三楽章第一主題は、やはり第二幕のスザンナとケルビーニの二重唱 「早く開けて」 におけるオーケストラ前奏と全く同じように始まる。
 1783年に作曲した交響曲第36番 『リンツ』 はモーツァルト自身の交響曲で初めて序奏を付けたが、同じく緩やかな序奏を置いた 『プラハ』 では、より完成された形をとっている。全体においても対位法的手法を巧みに駆使し、非常に立体的な構成をとっており、これにつづく、いわゆる 「後期3大交響曲」 と並ぶ、モーツァルトの最高傑作といえるだろう。


【構 成】
 メヌエット楽章なしの三楽章構成。全楽章ともにソナタ形式で、第一楽章に序奏部を有する。


【楽器編成】
 フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部


【楽曲分析】

指揮:カール・シューリヒト
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1960年8月14日(ザルツブルク音楽祭)



※ 以下、[]内は小節数、()内は小節数量、〔〕内はトラック時間を示す。



第一楽章 アダージョ~アレグロ ニ長調 4/4拍子

ソナタ形式(序奏部付き) [1~302](302)〔0:02~9:47〕
 提示部 [1~142](142)〔0:02~5:34〕
  導入 [1~36](36)〔0:02~2:52〕
   第一群 [1~15](15)〔0:02~1:13〕
   第二群 [16~36](21)〔1:13~2:52〕
  第一主題の提示 [37~45](9)〔2:52~3:04〕
  第一主題の確保 [46~54](9)〔3:04~3:17〕
  推移 [55~96](42)〔3:17~4:20〕
   第一群 [55~70](16)〔3:17~3:41〕
   第二群 [71~96](26)〔3:41~4:20〕
  第二主題の提示 イ長調 [97~104](8)〔4:20~4:33〕
  第二主題の確保 [105~120](16)〔4:33~5:00〕
  推移 [121~129](9)〔5:00~5:14〕
  コーダ [130~142](13)〔5:14~5:34〕

 展開部 [143~207](65)〔5:34~7:15〕
  第一群 [143~161](19)〔5:34~6:03〕
  第二群 [162~188](27)〔6:03~6:44〕
  第三群 [189~207](19)〔6:44~7:15〕

 再現部 [208~302](95)〔7:15~9:47〕
  第一主題の再現 [208~216](9)〔7:15~7:28〕
  確保的推移 [217~243](27)〔7:28~8:11〕
  第二主題の再現 ニ長調 [244~251](8)〔8:11~8:25〕
  第二主題の確保 [252~269](18)〔8:25~8:55〕
  推移 [270~282](13)〔8:55~9:15〕
  コーダ [283~302](20)〔9:15~9:47〕


 


第二楽章 アンダンテ ト長調 6/8拍子

ソナタ形式 [1~148](148)〔0:00~9:29〕
 提示部 [1~58](58)〔0:00~3:37〕
  第一主題 [1~8](8)〔0:00~0:30〕
  推移 [9~34](26)〔0:30~2:08〕
   第一群 [9~18](10)〔0:30~1:09〕
   第二群 [19~26](8)〔1:09~1:38〕
   第三群 [27~34](8)〔1:38~2:08〕
  第二主題 ニ長調 [35~45](11)〔2:09~2:47〕
  推移 [46~54](9)〔2:47~3:24〕
  コーダ [55~58](4)〔3:24~3:37〕

 展開部 [59~93](35)〔3:37~5:58〕
  コーダのパッセージ [59~63](5)〔3:37~4:00〕
  第一主題 ハ長調 [64~71](8)〔4:00~4:35〕
  推移(第一群)の素材 [72~73](2)〔4:36~4:46〕
  第一主題 ニ短調 [74~77](4)〔4:47~4:59〕
  推移(第一群)の素材 [78~79](2)〔4:59~5:09〕
  第一主題 ホ短調 [80~83](4)〔5:10~5:20〕
  推移(第一群)の素材 [84~93](10)〔5:20~5:58〕

 再現部 [94~148](55)〔5:59~9:29〕
  第一主題 [94~97](4)〔5:59~6:11〕
  推移 [98~121](24)〔6:11~7:42〕
  第二主題 ト長調 [122~132](11)〔7:42~8:21〕
  推移 [133~141](9)〔8:21~9:00〕
  コーダ [142~148](7)〔9:01~9:29〕





第三楽章 フィナーレ,プレスト ニ長調 2/4拍子

ソナタ形式 [1~350](350)〔0:00~3:36〕
 提示部 [1~151](151)〔0:00~1:31〕
  第一主題の提示 [1~16](16)〔0:00~0:10〕
  第一主題の確保 [17~30](14)〔0:10~0:17〕
  推移 [31~65](35)〔0:18~0:38〕
   第一群 [31~46](16)〔0:18~0:27〕
   第二群 [47~65](19)〔0:27~0:38〕
  第二主題の提示 イ長調 [66~81](16)〔0:39~0:48〕
  第二主題の確保 [82~97](16)〔0:49~0:58〕
  推移 [98~119](22)〔0:58~1:12〕
  コーダ [120~151](32)〔1:12~1:31〕

 展開部 [152~215](64)〔1:32~2:11〕
  第一主題第一動機の展開による

 再現部 [216~350](135)〔2:11~3:36〕
  第一主題の再現と確保 [216~227](12)〔2:11~2:18〕
  推移 [228~262](35)〔2:19~2:40〕
  第二主題の再現 ニ長調 [263~278](16)〔2:40~2:50〕
  第二主題の確保 [279~294](16)〔2:50~3:00〕
  推移 [295~316](22)〔3:00~3:14〕
  コーダ [317~350](34)〔3:14~3:36〕

参考資料
CD
・カール・シューリヒトの遺産 モーツァルト:交響曲第36番ハ長調『リンツ』/交響曲第38番ニ長調『プラハ』 カール・シューリヒト指揮/パリ・オペラ座管弦楽団 録音:1961年11月(第36番)、1963年6月(第38番)パリ (コロムビア/COCO-6585)
スコア
・ZEN-ON SCORE MOZART SYMPHONIE 38 D dur K.504 モーツァルト 交響曲第三十八番 ニ長調 K.504 《プラーグ》 全音楽譜出版社(ISBN4-11-890403-9)





【私の愛聴盤】

シューリヒト/パリ・オペラ座管:『プラハ』 シューリヒト 10 CD BOX


 シューリヒト/パリ・オペラ座管の 『プラハ』 を初めて聴いたのは、私が高校1年生の時であった。これまで、モーツァルトの音楽をつまらなく感じていたが、この演奏を聴いて音楽の躍動感や寂寥感、繊細なニュアンスや大胆な推進力…、目まぐるしく移ろう音の情景の中で多くを知る。私にとってこの演奏は、音楽道の分岐点となった貴重な出会いであり、以後シューリヒトの音楽を敬愛するに至る。













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[ 2011/01/13 11:34 ] 楽曲分析 | TB(3) | CM(0)

幻想交響曲 3/3

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 ある芸術家の生涯の挿話
Symphonie fantastique,Op.14
Épisode de la vie d'un artiste, symphonie fantastique en cinq parties


指揮:シャルル・ミュンシュ
演奏:ボストン交響楽団
録音:1962年4月17日




第一楽章:「夢―情熱」 Rêveries, Passions
 長いラルゴの序奏をもつソナタ形式。序奏部では若い芸術家が愛する人に巡り合う前の憧憬を表し、やがて提示部に入るとフルートとヴァイオリンによってゆったりとした旋律が現れます。これが恋人を表す「イデー・フィクス」(第一主題)です。

* 以下[]内は小節、()内はトラック時間を示します。

第一楽章:「夢―情熱」
ラルゴ ハ短調 4/4拍子 ―アレグロ・アジタート・エ・アパッショナート・アッサイ ハ長調 2/2拍子 

ソナタ形式(導入部付)
 序奏部[第1~71小節](0:07~5:10)
 提示部[第72~167小節](5:10~6:30)
  第一主題=「イデー・フィクス」[第72~111小節](5:10~5:43)
  第二主題[第150~166小節](6:17~6:29)
 展開部[第166小節~](6:30~)
  「イデー・フィクス」[第238~278小節](7:29~8:07)
  第二主題に基づく第一のフガート[第311~328小節](8:35~8:49)
  第二のフガート[第329小節~](8:50~)


下記へ続く~







~第一楽章の続き
 展開部[~第409小節](~1:22)
  第二のフガート[~第357小節](~0:29)
  オーボエによる「イデー・フィクス」(模倣対位法)[第358~409小節](0:29~1:22)
 再現部[第410~474小節](1:22~4:01)
  第一主題=「イデー・フィクス」の再現(主調)[第410~438小節](1:22~1:44)
  アニメ(animez)から著しい転調と加速[第439~450小節](1:44~1:53)
  「イデー・フィクス」に基づく模倣的パッセージ[第451~460小節](1:53~2:08)
  アニメ[第439小節](1:44)からの部分的再現及び拡張[第461~474小節](2:08~2:17)
 コーダ[第475~525小節](2:17~4:01)
  第一コーダ[第475~491小節](2:17~2:29)
  第二コーダ[第492~525小節](2:29~4:01)
   「イデー・フィクス」[第503~525小節](2:59~4:01)



第二楽章:「舞踏会」 Un bal
 にぎやかな舞踏会で彼は恋人の姿を見かけるありさまを表現しています。交響曲にワルツをいれることは当時では異例でした。序奏部では弦のトレモロやハープによって人々のざわめきをえがいていますが、主部Aからワルツの旋律がはじまります。そしてフルートとオーボエがイデー・フィクスを変化させて、恋人が踊っているさまを描いています。

第二楽章:「舞踏会」
ワルツ アレグロ・ノン・トロッポ イ長調 3/8拍子

ABA形式
 序奏部[第1~38小節](4:53~5:25)
  舞踏会が始まる前の情景 イ短調―イ長調
 [第39~121小節](5:25~6:53)
  優美な3拍子のワルツ
 [第121~175小節](6:53~7:48)
   木管楽器:ワルツ・バージョンの「イデー・フィクス」 ヘ長調[第120~160小節](6:53~7:32)        
   弦楽器:第一楽章の伴奏音形[第120~128小節](6:53~7:01)及びワルツの旋律の断片・リズム[第129~156小節](7:01~7:28) 
 [第176~256小節](7:48~9:14)
  Aの再現 伴奏やオーケストレーション、ワルツの主題の拡大
 コーダ[第257小節~](9:14~)


※ 旋律の重ね合わせ(ベルリオーズ特有の手法)
下記へ続く~


  




~第二楽章の続き
 コーダ[~第368小節](~1:20)
  クラリネットによるワルツ・バージョンの「イデー・フィクス」の断片[第302~319小節](0:35~0:54)



第三楽章:「野の風景」 Scène aux champs
 ある夏の夕べ、野辺で二人の牧童が吹く笛の音が聴こえます。主部Aから田園的な主旋律がフルートとヴァイオリンで奏されかすかな希望が芽生えますが、Bから音楽は激しくなり、恋人への揺れる心、「もし彼女が裏切ったら」という不安に駆られます。曲の終りちかく牧童の一人が笛を吹きますが答えがかえってきません。日は没し、雷鳴がとおくに聞こえ、孤独と静寂に包まれます。

第三楽章:「野の風景」
アダージョ ヘ長調 6/8拍子

ABA形式
 序奏部[第1~19小節](1:37~3:15)
  舞台上イングリシュ・ホルンと舞台裏オーボエの二重奏 
 [第20~87小節](3:15~7:45)
  「イデー・フィクス」と輪郭が類似した第一ヴァイオリンとフルートによる主要主題[第20~32小節](3:15~4:05)
 [第88小節~](7:45~)
  木管による変形された「イデー・フィクス」[第90~102小節](7:54~8:32) 
 
下記へ続く~







~第三楽章の続き
 [~第116小節](~0:10)
 [第117~149小節](0:10~2:31)
  弦楽器のPPP ピッツィカートで奏されるAの主要主題の変奏[第117~130小節](0:10~1:03)及びクラリネットによる新たな対旋律[第119~130小節](0:18~1:03)
  主要主題 ハ長調[第131~138小節](1:03~1:34)
 コーダ[第150~199小節](2:31~5:15)
  第一コーダ[第150~174小節](2:31~3:06)
    弦楽器:主要主題の断片
    管楽器:「イデー・フィクス」の断片
  第二コーダ[第175~199小節](3:06~5:15)
   イングリッシュ・ホルンが序奏部の旋律を吹くがオーボエの答えはない
   4台のティンパニを4人が奏する遠雷の描写

※ 旋律の重ね合わせ



第四楽章:「断頭台への行進」 Marche au supplice
 自分の恋が認められないことに絶望しアヘンを飲んだ芸術家が、眠りの中で見る悪夢・幻想。彼は恋人を殺して死刑を宣告され、断頭台へ向かっていきます。弦とティンパニのリズムにのった重々しい行進のあと、チェロとバスに決然とした旋律が示されます。行進は次第に力を増し全合奏によって堂々たる主題を奏します。最後の瞬間にふと恋人の面影が浮かびますが(クラリネットによる「イデー・フィクス」)、次の瞬間、ギロチンの一撃によって断たれます。首は転がり落ち(弦のピッツィカート)、あたりは騒然となります。

第四楽章:「断頭台への行進」
アレグレット・ノン・トロッポ ト短調 4/4拍子 

自由なロンド形式
 序奏部[第1~17小節](5:39~6:03)
 第一主題部[第17~61小節](6:03~6:59)
 第二主題部[第62~77小節](6:59~7:19)
 第一主題部[第78~88小節](7:19~7:32)
 第二主題部[第89~104小節](7:32~7:52)
 第一主題部[第105~139小節](7:52~8:35)
 コーダ[第140小節~](8:35~)
  クラリネットによる4小節の「イデー・フィクス」[第164~168小節](9:00~9:06)
  ギロチン[第169小節](9:06)
  転がる首[第169小節](9:07~9:08) 
  歓声[第170小節~](9:09~)

下記へ続く~






~第四楽章の続き
 コーダ[~第178小節](~0:11)
  歓声[~第178小節](~0:11)



第五楽章:「サバトの夜の夢」 Songe d'une nuit du Sabbat
 悪夢の続きで、「異様な物音」や「うめき声」の描写から始まります。彼は自分の葬式に集った怪物や魔物たちとともに、恐ろしい魔女たちの夜宴(サバト)に翻弄されます。そこに恋人が現れ、「恋人の到着を喜ぶ亡霊や魔女や化け物たちのわめき声」を表すtutti(全合奏)が力強く鳴り響き、すっかりかつての気品を失った恋人「イデー・フィクス」が現れます。弔いの鐘が鳴りグレゴリオ聖歌「ディエス・イレ(怒りの日)」が奏でられ、やがて急速な「サバトのロンド」が弦楽部に始まり発展して二重フーガになります。そしてクライマックスは弦による「サバトのロンド」と管による「ディエス・イレ」が並行していきます。続いて不気味なコル・レーニョ、さらに狂乱なクライマックスが築きあげられます。

第五楽章:「サバトの夜の夢」

自由なソナタ形式
 序奏部[第1~101小節](0:24~3:12)
  ハ長調 6/8拍子に変形されたクラリネットによる「イデー・フィクス」[第21~28小節](1:45~1:53)
  tutti[第29~39小節](1:53~2:01)
  小クラリネットによる「イデー・フィクス」[第40~64小節](2:03~2:34)
 提示部[第102~304小節](3:12~5:55)
  弔鐘[第102~223小節](3:12~4:47)
  後に「サバトのロンド」の主題の断片に使われるヴィオラによる動機[第107~121小節](3:16~3:28)
  「ディエス・イレ」 ファゴットとオフィクレイドによる[第127~240小節](3:35~5:02)
  「サバトのロンド」[第241~305小節](5:02~5:55)
   提示部[第241~268小節](5:02~5:26)
   エピソード[第269~288小節](5:26~5:42)
   対比提示部[第289~305小節](5:42~5:55)
 展開部[第305~406小節](5:55~6:56)
  「ディエス・イレ」を含む展開[第348~362小節](6:27~6:40)
  「サバトのロンド」の主題の変形にもとづくフガート[第355~385小節](6:33~6:56)
 再現部[第407~524小節](6:56~8:10)
  弦楽器による「サバトのロンド」の提示 ハ長調[第403~414小節](7:09~7:16)
   管楽器:「ディエス・イレ」[第414~435小節](7:16~7:33)           
   弦楽器:「サバトのロンド」[第414~421小節](7:16~7:23)
  コル・レーニョ(弓の木の部分で打つ奏法)[第444~460小節](7:40~7:52)  
  「ディエス・イレ」の断片[第486~490小節](8:11~8:15)
  「サバトのロンド」の断片[第490~495小節](8:15~8:19)
 コーダ[第496~524小節](8:19~8:47)
  「サバトのロンド」の変形[第496~524小節](8:19~8:47)
  
※ 主題の重ね合わせ




参考資料
C D
・ベルリオーズ:幻想交響曲|メンデルスゾーン:真夏の夜の夢/ピエール モントゥー指揮、ウィーン フィルハーモニー管弦楽団 録音:1957-1958年(デッカ UCCD-7107 TBID:80EYFVI9A)
・ベルリオーズ:幻想交響曲/シャルル・ミュンシュ指揮、パリ管弦楽団 録音:1967年(EMI TOCE-14001)
・ベルリオーズ:幻想交響曲|序曲「ローマの謝肉祭」|劇的物語「ファウストの却罪」/エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団 録音:1964-1967年(LONDON 223E 1135)
・ベルリオーズ:幻想交響曲/サー・ジョン・バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団 録音:1947年

スコア
・BERLIOZ SYMPHONIE FANTASTIQUE Op.14/MINIATURE SCORES OGT235 音楽之友社(ISBN4-276-91875-8)




概要
プログラム





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[ 2011/01/04 11:19 ] 楽曲分析 | TB(0) | CM(0)

幻想交響曲 2/3

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 ある芸術家の生涯の挿話
Symphonie fantastique,Op.14
Épisode de la vie d'un artiste, symphonie fantastique en cinq parties



~ プログラム


はしがき
 作曲者はある芸術家の生涯のさまざまな状況を、それらが音楽的な要素をもっている限りにおいて詳しく描くことを目的とした。この器楽によるドラマの筋立てというものは、言葉の助けがないのであるから、前もって提示される必要がある。したがって、以下のプログラム1)  は オペラの台詞のテキストのようにみなされるべきであり、それぞれの楽曲を準備し、それらの性格や表現を説明するのに役立つのである。


第一楽章
夢 ― 情熱
 作者が想定したのは、ある高名な作家が「情熱のうねり」と呼んだ精神面の病に悩まされているひとりの若い音楽家が、夢に描いていたあらゆる魅力を一身に備えた理想の女性を見初めて、狂おしいほど恋こがれるようになるということである。奇妙なことに、恋人の姿はこの芸術家の頭のなかにつねに一つの楽想と結びついて現れる。彼はその楽想のなかに、愛する人に与えたのと同じ性格――情熱的ではあるが、高貴で控え目な性格を見出す。
 この旋律的な反映像は、そのモデルとともに、二重のイデー・フィクス〔固定観念〕として絶えず彼につきまとう。そのため、この交響曲のすべての楽章で、最初の「アレグロ」を開始する旋律がつねに現れるのである。このメランコリックな夢の状態が、理由のない歓喜が何度か爆発することによって中断され、錯乱した情熱の状態へと移っていき、怒りや嫉妬の衝動を見せ、もとの優しさに戻り、さらに、涙、宗教的な慰めが現れるというのが、第一楽章の題材である。


第二楽章
舞踏会
 この芸術家は非常に変化に富んだ状況に置かれる。「祭りの喧騒」のなかにいたり、自然の美しさを心静かに眺めたりするのである。だが、街でも、野原でも、どこにいようと恋人のイメージは彼の前に姿を現わし、彼の心を騒がせる。


第三楽章
野の情景
 ある日の夕方、彼は野原で、二人の羊飼いが「ラン・デ・ヴァッシュ〔牛追い歌〕」を吹き交わしているのを遠くに聞く。この羊飼いの二重奏、周囲の風景、風に優しくそよぐ木々の軽いざわめき、彼が最近感じはじめた希望の理由、これらすべてがいっしょになって、彼の心にいつにない静けさをもたらし、彼の思考により喜ばしい色彩を与える。彼は自分の孤独について思いをめぐらす。彼はやがてひとりぼっちでなくなることを願う・・・・・・だが、もし彼女が裏切ったら!・・・・・・希望と疑惑のこの混じり合い、いくぶん暗い予感に邪魔されるこの幸福の思いが、「アダージョ」の題材となっている。最後に、羊飼いの一人がラン・デ・ヴァッシュをふたたび吹くが、もう一人はもはや答えない・・・・・・遠雷の轟き・・・・・・孤独・・・・・・静けさ・・・・・・


第四楽章
断頭台への行進
 自分の愛が報いられないと悟った芸術家はアヘンで服毒自殺を計る。麻薬が、致死量に足りなかったために、彼は眠りのなかで非常に恐ろしい光景を見る。彼は夢のなかで、愛する女性を殺し、有罪を宣告され、処刑場に連れていかれ、「自分自身の処刑」に立ち会う。行列はあるときは陰気で荒々しく、あるときは輝かしく荘厳な行進曲を伴って進む。この曲では、重々しい歩みの鈍い物音が突然非常に騒がしい響きへと変わる。行進曲の最後で、「イデー・フィクス」の最初の4小節がふたたび現れる。致命的な一撃によって断ち切られる愛の最後の思いのように。


第五楽章
サバトの夜の夢
 彼はサバト〔魔女たちの夜宴〕の席で、恐ろしい亡霊や、魔女や、あらゆる化け物たちに囲まれている自分の姿を見る。彼の葬式に集まってきたのである。異様な物音、うめき声、けたたましい笑い声、遠くの叫び声、それに答えるような笑い声。恋人の旋律がふたたび現れるが、高貴で控え目な性格は失われている。それはもはや下劣で、野卑で、グロテスクな踊りの旋律でしかない。これがサバトの席に姿を現した彼女なのだ・・・・・・彼女の到着を喜ぶわめき声・・・・・・彼女はこの悪魔的な乱痴気騒ぎに加わる・・・・・・弔いの鐘、「ディエス・イレ」2) を下賤に茶化したパロディー、「サバトのロンド」が続く。サバトのロンドとディエス・イレがいっしょになる。


 ※) 1845年出版のスコアに掲載された稿。

1) このプログラムを、この交響曲が演奏されるコンサートで聴衆に配布することは、
 作品の劇的なプランの完璧な理解に不可欠である。〔HB(エクトール・ベルリオーズ)〕
2) カトリック教会の葬送の儀式で歌われる讃歌。〔HB〕


(訳:井上さつき)




概要
楽曲分析









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[ 2011/01/04 11:01 ] 楽曲分析 | TB(0) | CM(0)

幻想交響曲 1/3

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 ある芸術家の生涯の挿話
Symphonie fantastique,Op.14
Épisode de la vie d'un artiste, symphonie fantastique en cinq parties



ベルリオーズ

エクトル・ベルリオーズ


【初 演】
 1830年12月5日フランソワ・アブネックの指揮によるパリ音楽院の演奏会。ロシア皇帝ニコライ一世に、1845年の総譜出版の際に献呈されました。


【標題(プログラム)】
 ベルリオーズの 『幻想交響曲』 は、1830年に作曲された最初の交響曲ですが、ベルリオーズの代表作であるのみならず、交響曲史上際立って重要な位置を占める、初期ロマン派音楽を代表する楽曲です。副題の「ある芸術家の生涯の挿話」の後に続いて、各楽章に表題と内容を説明するプログラムがつけられ、さらにこの交響曲を完結させる続編として、独白劇 『レリオ、あるいは生への復帰』 作品14b が付け加えられました。
 ベルリオーズにとって交響曲は、絶対音楽(単に主題の対比や発展の構成的な美しさをみせる器楽曲)といわれるものではなく、ある物語や情景を中心として創り上げられた器楽の劇あるいは描写的な情景画というものでした。これは彼の交響曲が「標題(プログラム)交響曲」と呼ばれ、十九世紀ロマン派の標題音楽の創始者といわれる所以です。したがって楽章の構成も編成も自由に拡大されて、形式的に拘束された古典的な交響曲から離れた独創的かつ自叙伝的な音楽が生まれました。
 幻想交響曲の特徴を表すキーワードとして、この標題音楽のほかに固定観念(固定楽想/イデー・フィクス)を挙げることができます。標題音楽とは音楽以外の何かを表現することを意図した音楽ですが、固定観念とは、楽曲全体を通して繰り返し現れる主題(旋律)で、これはのちにワーグナーにライトモティーフ(主導動機)を、リストを経て、フランクに循環形式を用いさせる発端となりました。
 標題音楽の先駆者としては、幻想交響曲と同じ五楽章構成で、各楽章に標題を持つベートーヴェンの第6交響曲 『田園』 があげられます。一方、固定観念についても、ベートーヴェンの第5交響曲 『運命』 の一つの動機が姿を変えて複数の楽章に登場することやフィナーレにおける第3楽章の回帰、第9交響曲に見られる第1楽章から第3楽章までの主題の回帰なども、固定観念の先駆的な要素と捉えることができます。しかし、純粋な管弦楽作品で固定観念の技法をこれほどまでに駆使し、しかも自伝的要素を織り込んだという点で独自なものでした。


【自伝的要素】
 イギリスの劇団の主演女優ハリエット・スミッソンは1827年前後、シェイクスピアの作品を演じるためにパリを訪れていました。ベルリオーズは1827年9月11日、『ハムレット』 のオフェーリアを演じた彼女に対し熱烈な恋愛感情を抱きます。熱狂的ファンになったベルリオーズは、その後の 『ロメオとジュリエット』 や 『オテロ』 を観にいきファンレターを送るなどアプローチを続けました。しかし、これはベルリオーズの完全な片思いで、スミッソンにとっては、彼は数多いファンの一人にすぎなかったのです。1830年初頭、ベルリオーズは自分の愛が報われないことを悟ります。絶望と苦悩に打ちひしがれた彼は、スミッソンに対する想いが憎悪に姿を変え、彼女に対する復讐を音楽作品のなかで遂げようとする彼の情熱的で夢幻的な傾向が、創作への原動力となりました。 一方、ちょうどそのころ、ピアニストのカミーユ・モークという女性が彼の前に現れます。 『幻想交響曲』 の作曲時期とモークとの恋愛は一部分は重なっており、失恋と新たな恋との狭間で 『幻想交響曲』 は生まれました。
 なお、ベルリオーズとモークの恋は、彼のイタリア留学中にモークが別の男性と結婚してしまったことで終わりました。その翌年1832年に 『幻想交響曲』 の再演を聴きに来ていたスミッソンと再会し、彼の心に再び火がつき、今度は彼女も受け入れ、翌1833年にベルリオーズとスミッソンは結婚します。ところが、やがて夫婦仲は冷め別居、ベルリオーズは新たな恋人と暮らすようになりました。

スミッソン

ハリエット・スミッソン



【管弦楽法】
 『幻想交響曲』 が作曲された1830年は、ベートーヴェン(1770 - 1827)が亡くなってからわずか3年後ですが、使用楽器や編成数はベートーヴェン時代のものと大きく異なります。交響曲史上初の楽器使用としては、イングリッシュ・ホルン、変ホ調の小クラリネット、コルネット、オフィクレイド(チューバで代用されることが多い)、複数のハープ、鐘です。編成数の拡大としては、4本のファゴット(伝統的数は2本)、2本のチューバ(現代でも大多数は1本)、弦楽器群の大幅な増員(古典的編成の標準、「12型」(6-5-4-3-2プルト)総員40人に対し60人)、奏者4人で4台のティンパニ(伝統的数は1人1対)です。また、イングリッシュ・ホルンと舞台裏のオーボエの空間的配置、コル・レーニョ奏法の使用なども先進的な手法です。このような大編成管弦楽と斬新なまでの楽器使用法は後世に多大なる影響を与えました。これは工業技術の目覚ましい進歩により、楽器が改良され、音量面や機構などで大きく向上したことで成し得たこととはいえ、細かい注釈が添えられた楽譜には、ベルリオーズの並々ならぬ音質への追求と計算尽くされた音量のバランス、其々楽器の特徴を生かした音色の配合など、彼独自の鋭敏な美意識と開拓精神をもって作曲された痕跡が感じ取れます。


【編 成】
 (新ベルリオーズ全集版による) ピッコロ(フルート2番持ち替え)、フルート2、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン(オーボエ2番持ち替え)、クラリネット2、小クラリネット(クラリネット1番持ち替え)、ファゴット4、ホルン4、トランペット2、ピストン付きコルネット2、トロンボーン3、オフィクレイド2、ティンパニ4、シンバル、大太鼓、小太鼓、鐘、ハープ(少なくとも4)、弦5部(15-15-10-11-9)










[タグ未指定]
[ 2011/01/04 10:25 ] 楽曲分析 | TB(4) | CM(0)
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