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音楽レッスン帳

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幻想交響曲 1/3

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14 ある芸術家の生涯の挿話
Symphonie fantastique,Op.14
Épisode de la vie d'un artiste, symphonie fantastique en cinq parties



ベルリオーズ

エクトル・ベルリオーズ


【初 演】
 1830年12月5日フランソワ・アブネックの指揮によるパリ音楽院の演奏会。ロシア皇帝ニコライ一世に、1845年の総譜出版の際に献呈されました。


【標題(プログラム)】
 ベルリオーズの 『幻想交響曲』 は、1830年に作曲された最初の交響曲ですが、ベルリオーズの代表作であるのみならず、交響曲史上際立って重要な位置を占める、初期ロマン派音楽を代表する楽曲です。副題の「ある芸術家の生涯の挿話」の後に続いて、各楽章に表題と内容を説明するプログラムがつけられ、さらにこの交響曲を完結させる続編として、独白劇 『レリオ、あるいは生への復帰』 作品14b が付け加えられました。
 ベルリオーズにとって交響曲は、絶対音楽(単に主題の対比や発展の構成的な美しさをみせる器楽曲)といわれるものではなく、ある物語や情景を中心として創り上げられた器楽の劇あるいは描写的な情景画というものでした。これは彼の交響曲が「標題(プログラム)交響曲」と呼ばれ、十九世紀ロマン派の標題音楽の創始者といわれる所以です。したがって楽章の構成も編成も自由に拡大されて、形式的に拘束された古典的な交響曲から離れた独創的かつ自叙伝的な音楽が生まれました。
 幻想交響曲の特徴を表すキーワードとして、この標題音楽のほかに固定観念(固定楽想/イデー・フィクス)を挙げることができます。標題音楽とは音楽以外の何かを表現することを意図した音楽ですが、固定観念とは、楽曲全体を通して繰り返し現れる主題(旋律)で、これはのちにワーグナーにライトモティーフ(主導動機)を、リストを経て、フランクに循環形式を用いさせる発端となりました。
 標題音楽の先駆者としては、幻想交響曲と同じ五楽章構成で、各楽章に標題を持つベートーヴェンの第6交響曲 『田園』 があげられます。一方、固定観念についても、ベートーヴェンの第5交響曲 『運命』 の一つの動機が姿を変えて複数の楽章に登場することやフィナーレにおける第3楽章の回帰、第9交響曲に見られる第1楽章から第3楽章までの主題の回帰なども、固定観念の先駆的な要素と捉えることができます。しかし、純粋な管弦楽作品で固定観念の技法をこれほどまでに駆使し、しかも自伝的要素を織り込んだという点で独自なものでした。


【自伝的要素】
 イギリスの劇団の主演女優ハリエット・スミッソンは1827年前後、シェイクスピアの作品を演じるためにパリを訪れていました。ベルリオーズは1827年9月11日、『ハムレット』 のオフェーリアを演じた彼女に対し熱烈な恋愛感情を抱きます。熱狂的ファンになったベルリオーズは、その後の 『ロメオとジュリエット』 や 『オテロ』 を観にいきファンレターを送るなどアプローチを続けました。しかし、これはベルリオーズの完全な片思いで、スミッソンにとっては、彼は数多いファンの一人にすぎなかったのです。1830年初頭、ベルリオーズは自分の愛が報われないことを悟ります。絶望と苦悩に打ちひしがれた彼は、スミッソンに対する想いが憎悪に姿を変え、彼女に対する復讐を音楽作品のなかで遂げようとする彼の情熱的で夢幻的な傾向が、創作への原動力となりました。 一方、ちょうどそのころ、ピアニストのカミーユ・モークという女性が彼の前に現れます。 『幻想交響曲』 の作曲時期とモークとの恋愛は一部分は重なっており、失恋と新たな恋との狭間で 『幻想交響曲』 は生まれました。
 なお、ベルリオーズとモークの恋は、彼のイタリア留学中にモークが別の男性と結婚してしまったことで終わりました。その翌年1832年に 『幻想交響曲』 の再演を聴きに来ていたスミッソンと再会し、彼の心に再び火がつき、今度は彼女も受け入れ、翌1833年にベルリオーズとスミッソンは結婚します。ところが、やがて夫婦仲は冷め別居、ベルリオーズは新たな恋人と暮らすようになりました。

スミッソン

ハリエット・スミッソン



【管弦楽法】
 『幻想交響曲』 が作曲された1830年は、ベートーヴェン(1770 - 1827)が亡くなってからわずか3年後ですが、使用楽器や編成数はベートーヴェン時代のものと大きく異なります。交響曲史上初の楽器使用としては、イングリッシュ・ホルン、変ホ調の小クラリネット、コルネット、オフィクレイド(チューバで代用されることが多い)、複数のハープ、鐘です。編成数の拡大としては、4本のファゴット(伝統的数は2本)、2本のチューバ(現代でも大多数は1本)、弦楽器群の大幅な増員(古典的編成の標準、「12型」(6-5-4-3-2プルト)総員40人に対し60人)、奏者4人で4台のティンパニ(伝統的数は1人1対)です。また、イングリッシュ・ホルンと舞台裏のオーボエの空間的配置、コル・レーニョ奏法の使用なども先進的な手法です。このような大編成管弦楽と斬新なまでの楽器使用法は後世に多大なる影響を与えました。これは工業技術の目覚ましい進歩により、楽器が改良され、音量面や機構などで大きく向上したことで成し得たこととはいえ、細かい注釈が添えられた楽譜には、ベルリオーズの並々ならぬ音質への追求と計算尽くされた音量のバランス、其々楽器の特徴を生かした音色の配合など、彼独自の鋭敏な美意識と開拓精神をもって作曲された痕跡が感じ取れます。


【編 成】
 (新ベルリオーズ全集版による) ピッコロ(フルート2番持ち替え)、フルート2、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン(オーボエ2番持ち替え)、クラリネット2、小クラリネット(クラリネット1番持ち替え)、ファゴット4、ホルン4、トランペット2、ピストン付きコルネット2、トロンボーン3、オフィクレイド2、ティンパニ4、シンバル、大太鼓、小太鼓、鐘、ハープ(少なくとも4)、弦5部(15-15-10-11-9)









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[ 2011/01/04 10:25 ] 楽曲分析 | TB(4) | CM(0)
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